敷地は愛知県名古屋市東区東桜一丁目。名古屋市内の商業、文化複合地域である。水が、建物地上階の池と二階屋上から滝として配されている。形態は名古屋駅前の円錐状のモニュメントやインドのボロブドール(仏塔)などにみる「モニュメントの回りに配される水」という想起を根拠とし、立面は上の方ほど幅がせまくなっている。平面図での雁行や、断面図での階高変化が、立面図での斜めの壁に効いていて全体的な構成の核となる部分が曖昧な感覚として表現されるように考慮した。水といういかんとも形容しがたいモチーフの表現。理念など嫌う五感を通じた身体的なものである水と、人との「都市」におけるふれあいは、年齢不詳で立場も問わない無国籍な形態での水との意義ある向きや行動様式が可能にさせると考えた。敷地は現在愛知県美術館として利用されており東に愛知芸術文化センター、北に東桜小学校を有する。建物はその意味においてオフィスビルの群れとそのなかで孤立しがちな小学校との中間的施設を目論んでおり、2階3階の事務所はこれらを特定の領域にまとめていないことで労働環境における公共精神の介入を意図している。産業の流通という都市の第一主要命題と老齢者や子供などの日常というか、一般人とが融合する。床に水の流れる一階図書室は、20世紀コミュナリズムのガラス建築の共同体を社会資源として提出した。
(2000年作)
美修_lan(ミシュラン)建築アトリエ
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