E 山王 スタイル

光に満たされた住宅は健康的なものである。敷地は南北に長く、縦に長く取らないと、奥まった敷地の角に広場ができてしまうので、縦長にいっぱいにとった。おくまった敷地用に接道をみたす通路を作ることはさけたい。マンション群による北側採光となるべく小さな敷地での快適な居住空間の内外の関係に見る裏表を影の部分に駐車場やサニタリーを、明るい部分に居室をとメリハリをつけ、また2階の中間部を吹き抜けにすることで、1階のデッキに真上から日を落とすことで、1階和室が暗くなるのを防いでいる。敷地は商業地域のため、なるべくコンパクトなものにしたいが、110平米の容量の延床面積を十分な広さや全ての部屋を明るくすることに工夫を要した。(制作2023 延床111平米)

E宮原スタイル

敷地は広島県江田島市内の住宅地にあり、南北に長いため、海の近い配置と住宅との敷地の有効利用が求められた。敷地をなるべくつめて建物を配置できるように、敷地の斜めの位置に一階の和室を当て、建物の採光を有効に得ようと考慮された。南側に広い庭と東側に海のロケーションを有する。市内中心部のような狭小の敷地で計画される時はもちろんのこと、この敷地の開放性は素晴らしい。感覚的な広さを求められるため、サニタリー部分は北側とした。住宅単体に関しては、建主は明るく開放的な要望に答え、4LDKの規模。家族構成に十分な間取り。2階廊下は通路というプアな空間となることを避けるため、椅子/本棚/高窓を備えた広めの通路である。3LDKの構成とし、ゆったりとした計画となった。押し出し層ポリスチレンフォームは断熱性。引き違いのアルミサッシ。カ-ボンニュートラルに関しては、まだ試行されていないため、経済的に窓や断熱材を処理している。                              (延べ床126平米 制作2023)

建築のテオリア マンフレッドタフーリ

 建築の歴史とは、時代性というもの、それを建物の様式として反映させた変遷のことであった。例えばインド。仏教建築が確立するまでの建築様式ではその形態化はかなり人間の行動に直裁なもので、プレーンともいえる躯体は必要に応じて壁をある時は穿ち、またあるときは閉じた。西洋において中世のゴシック建築は当時流付していたスコラ哲学の形態化だといわれ、煩瑣な思考に基づいた難解な造りーフライングバットレスを繰り返すという現象を招いていた。ところが、ゴシック建築の様式についてはその根拠とされていたスコラ哲学を疑問視する学者もいる。例えば中世当時のキリスト信仰は大きく威厳のあった方がいい。時代はできるだけ大掛かりな建築を欲した。そのため頑丈な構造体が求められた時どこまで手を尽くしても(どれだけフライングバットレスを繰り返しても)まだこの見たことの無い巨大な構造物を支えられる確信がなかったことに由来するとの説明のことで、建築はいつの時代も、社会の富や政治的背景を抱えながら実現されてきたことが、現在ではあるいは無下にされるかのごとく展開されている。物を作ることは人間の気持ちをどう伝えるかに関わるとしても、それでも物事には裏表があり、両犠牲があり、こうして主観は客観化されるようになるには19世紀を待たねばならなかったから、現代でいう建築がインフラなのかサービスなのかと問われているように、一神教は今ではそれを媒介...

E石井スタイル

構造のハイブリッドとか現代性と様式の混成が表現できればいいのだろうけど、何もできない敷地では、矩形で配置は南側敷地の条件を逆手にとって、豊かなアプローチを創出する空間として利用し、階段室を2階部分突出させて明るい廊下(1階/2階とも)とさせたり、駐車スペースを2台確保しようとして建物の一階一部を駐車スペースとしたり、清潔感のある上部青い鋼板。下部吹き付けタイルの表面とした。 プランとしては2階に洋室があることで家事動線が一階と二階に分かれるが、家事室を設けることでさまざまな家事や一階で作業するよりデッキを使って使いやすい。 全体的には建築と敷地の混成。 (延床:140㎡ 制作2022)

E佐藤スタイル

広島市内北部の郊外に計画された住宅である。敷地は荒川地区の安佐市民病院の建設により、将来的には近隣商業地区にでもなりそうな好立地である。市民的な安定を拒絶した荒廃した敷地に対し歴史的な出来事としての安佐市民病院の建設にみる曲面を伴った豊かな造形性は今年5月から開業予定である。都市はツリーではない。と、クラスター状の病棟(?)になってるみたいで。他の病院に見る、動線が、回遊式になっているのは効率的であるが、この施設環境負荷が優秀なんだろなと。クラスターなので中央コアから全ていききすることで、何でしょね患者さんの人数整理がしやすいか、中央が公共スペースになりやすいか、冬だと、換気での冷気が、直行した病棟にはもれない。コンクリート打ち放しの美学にとどまっているものではない。これよりこの住宅で試みたのは地域の過去から未来へ記憶をつなごうと流動的な形態にしたかった。鋭角の屋根や、台形の屋根と、見る角度によって異なる形態を示す。記号ではなくどこも見せ場だと思えない建築を目指した。畳の間を含んだLDKと個室が3つ。激しく変貌する外の世界に対して秩序をもって対応する必要性があり、玄関とリビングの吹き抜けは、玄関のそれは見つめるだけの、リビングのそれは円形階段を介して体験できるものとし、天井高の異なる居室など、建物の高低等、スケール感を大切にした。天才、神聖な現象的世界ではなく、陶酔的な創造行為(制...

E 岡田スタイル

住宅 E岡田スタイル は広島市近郊の郊外、住宅系の地域に計画された。郊外といえば思い起こされるのは建築という人工物に対する自然、広場に対する廃墟という両義性の問題である。これは普遍性に関する問いかけであって一見工学に見える建築物を自然に対する人工物というハードな側面と広場に対する廃墟という人々の集い方というソフトな側面に答えるために建築を経済的、社会的に考察するきっかけを与えるものである。自身を含む労働者が一般に直面する現実を対象に思想ではないのだけれど統合的なことがしたい。建築の実務においてはそれは、モダニズムは地方的伝統を無視したことへの反芻である。モダニズムの特徴である幾何学形態の利用機械美学工業化社会の進展に伴って派生する建築課題との取り組み 鉄/ガラス/鉄筋コンクリート工業材料の積極的利用などを踏まえつつプランについては、居間が中心的な場ではなく、どの部屋に行くにも階段室を通る。つまり和室が階段室を介しての回遊式の構成ー階段広場ーとなっている。断面については、湾曲した窓による南からの採光を生かせるよう意図した。立面については街区の角地という好立地を生かして建物の湾曲窓と設けたベンチでにぎわい創出の場をと考えた。ガラスは透明さで純粋に現実の重さを感じさせず人間精神を開放し救済する力を有するものと考えられた。20世紀初頭表現主義建築のもう一つの特徴である自由な曲面を使う、ビル...

レイナーバンハム 環境としての建築

19世紀末から20世紀初頭にかけてのアールヌーボー、デ・ステイル、表現派、セセッション、アムステルダム派、未来派などが打ち出した様式の変遷の中で、モダニズムもまたこの流動的な表現の潮流の中で発生したといわれる。また実際にはモダニズムはイギリス産業革命での人力から機械へ、手作業から道具への大変革の中建築施工も機械や道具に頼ったことからこの様式、それまでの歴史様式を刷新したのだといわれる。戦争ともかかわるが、その評価は別として、土着性はない。現在見られている最先端の建築にみる弱い姿形は保守的なもので、何でも美化する日本社会の風潮が、弱いものは守るべきだ、それこそが正義だだとの解釈をもって、弱い表現は勝つに至った。「レイナーバンハム著 環境としての建築(SD選書260)」はそんな土着性のないモダンから、風や土のにおいのするそんな本である。記号として、古典を扱う態度はガラスにおいては辺々地位なので、ポストモダンとして扱われたこの本も、改修保存と読み取れることで未来へつなぐ歴史的な書といわれたのは興味深い。モダニズムの時代とはその象徴的建築家であるル・コルビュジェの影響で、機械美学の印象が強いが、「明らかにガラス建築は極地や赤道地帯ではだめで、温帯のみに適した建築である。灼熱の地域では、白いコンクリートの屋根で保護しなければ成功しないだろうが、温帯ではそんな屋根は必要ない。」と本書第七章の中...

ー新建築論考コンペテイシヨン2021ー

       コロナの時代の私たちと建築   「コロナの時代によるビルディングタイプが生む価値観」 コロナの時代の今,発熱や味覚/臭覚の異常に苦しんでおられる患者の皆様にはお見舞い申し上げますとともに、病院をはじめ高齢者福祉施設等、社会的弱者を取り巻く世の社会資源の活動に賛同いたします。またこの度のような論文提出の機会を与えて下さいました青木淳氏はじめ雑誌「新建築」社の皆様に一建築家として感謝いたします。いつの時代も権力のうごめく都市において、対する都市機能の維持管理がそれ以上に熱意をもってなされたことはコロナの時代で示されました。代表はもちろん医療従事者の方々ですが、今回の新型コロナウイルス感染症は毎年の冬のインフルエンザなどと異なりワクチンの開発に時間を要しました。使命感に追われ、ワクチンが大量生産される一方で、このウイルスは何か、社会全体よりも個々人の心がけのような「基礎疾患がある方が手厚い、お金のことではないその真摯さは本当にすごくてコロナウイルス感染症の終息には、複雑な手段が必要」といった解決策が求められているように言われます。建築では例えば組織事務所、大手ハウスメーカーの便益性で多くの建て主を取り込む住宅事情に押され、オリジナリティーという尊厳さに関わる個人設計事務所は、建築とはデザインよりもインフラかサービスかに関わるべきだとの昨今、アプリオリな「原因、原...

E 伊藤 スタイル

延べ面積72㎡の狭小住宅である。利便性の良い都市ではなく郊外でも、開発許可制度の規制を免れたいために公共施設の水準が低く、行き止まり道路があちこちにできるなどの問題を狭小による収益の常識的な買い方は、まれな存在に建築家をさせ、それもメーカーより高いとくる。伊藤さんの夫婦プラス子供一人の与件が本設計には求められた。郊外として住みやすく市内中心部との中間地域で労働するには安価な住宅となろう。駐車スペースは回転半径6mを確保するため一階駐車スペースの角の柱は取り除いている。2LDKの住居プランはそれが必ずしも人数対応となる必要はない。3階にみられる廊下も回転階段にソファを設けるなどして廊下といえども部屋化させる。道路側斜線制限より全体の高さを3階建てながらも抑え、デッキ手すりは高い開放性を有する。容積率は第一種住居地域の厳しい16/10と敷地面積の4メーター道路適応のためぎりぎりとなっている。駐車スペースは取り方が難しく3.5m道路において出入りしやすいように工夫しその位置はほぼ敷地の真ん中にある。敷地南側に採光のスペースをと、縁側を設けた。 (制作2021年)

小家族の家 Priblic

格差とか家族問題的に言って、建築の専門性に通じる人も、全くの素人も建物に住んでいる。都市計画は近現代史の範疇だが、都市計画のモダニズム、都市計画のポストモダンとは現状の建築情勢上のサービスかインフラかだといわれる。劣悪な労働環境から住宅を離す。オーエンやハワードの当初の整備は街機能の維持管理へと遠い将来の今では変わった。築40~50年の古い型の住宅は壊され、四戸イチの箱ができる。これは一生涯住むでもない規模ゆえ、小家族の間暮らすのに有益である。大手住宅メーカーと、個人事務所のそれぞれの影響。すなわち影響大、影響小の関係は、個人事務所の発展を阻害している。マンションの建ちがちな街中に対する、垂直方向というより水平方向ののびやかな郊外に建つ平屋の小住宅群/ランドスケープでの配置にて住宅メーカーにはない人のつながりを提出したいと思った。パブリックスペースとプライヴェートスペースの生活というくくりからのゆるい関係性の展開を、住棟を入居者/通行人の通るコモンアクセスに面させ、円形の敷地という求心性から地域の交流の場とした。建物はアールデコ調の建築であり、現代的なモダニズムというよりは、郊外での地域や風土に根差した急勾配の屋根と明りとりを持つおおらかなものである。設計者の関心は、構造ではなく生活環境として使いやすく、感動と喜びを誘いしかもそれをいかに長く保ち得るかにある。(延べ床 54㎡*4棟...